まきまきちゃんさんの感想、レビュー
まきまきちゃん
霊長類学者である著者が、雑学を交えつつ、ゴリラの視点から人間社会の問題点や課題を提示し見つめ直す内容。 コロナ禍もあってか「人との関わりをもちながら、他者のなかに自分を見つける楽しさ」が確かに最近減っていることを痛感。
山極寿一
面白かった! 21回このミス大賞の最終候補作。「合法復讐屋」エリスが次々と悪人に鉄槌を下す4つの短編。 個性的キャラ、テンポよい展開、鮮やかな伏線回収…読みやすくてあっという間に読了。スカッとする後味で非常に私好み。ドラマ化向きの作品では?続編に期待。
三日市 零/慧子
華やかながらも厳しいヅカの世界で「おっさん」専門という自らの居場所を作り逞しく生き延びてきた元ジェンヌである著者の愉快なエッセイ。 宝塚歌劇を知らずともこれだけ楽しめるのだから、ファンなら尚更ではないだろうか?表紙の可笑しさもさることながら言葉のセンスもずば抜けている。
天真みちる
著者が参加している俳句会の方々の俳句を基に綴られた12篇の短編集。 コンセプトからほのぼのした内容かと思いきや…ミステリー、ホラー、SF等幅広いジャンルの宮部ワールドが堪能できる濃厚な一冊。 それにしてもヤバイ男がやたら沢山出てきて笑ってしまった。(笑)
宮部 みゆき
一発屋と呼ばれる芸人達に焦点を当てたドキュメンタリー。 ネタに引っ掛けた巧みな表現や軽快な突っ込みを交えての語り口は絶妙で、一際著者の文才ぶりが光る。 芸人達に注がれる厳しくも温かい眼差しに胸を打ち、著者含め皆にエールを送りたくなる。人生色々。
山田ルイ53世
心温まり笑顔になれる作品の筆頭に挙げるなら間違いなく森沢明夫さん! コミカルで幸せな気分になれるストーリーで、全体的にRPGを思わせる内容。最後どんでん返しも爽快。 スピード感あり、某作品に登場したあの方の再登場にワクワク感も増し、終始楽しく読ませて頂いた。
森沢 明夫
タンパク質比率により生殖と寿命のグラフが対称的なのが興味深い。 体が自然と欲するものを素直に摂れば健康の筈が「超加工食品」の出現により食生活に狂いが生じた事実には人間の愚かさをひしと感じる。
デイヴィッド・ローベンハイマー/スティーヴン・J・シンプソン
スッキリした読了感。 成り行きでの旅が大どんでん返しを招く。あまりに出来すぎた内容にも思えるが、自分の人生も好転していきそうな気分。笑 キャンピングカーの描写が魅力的。 背中を押してくれる相棒の存在は大きい。
香住泰
第169回直木賞候補作の新時代ホラー。ビビりつつも好奇心が上回り頁を捲る手止まらず。 序盤から不穏な空気が漂い、じわじわ進行する主人公の変貌と共に自分の中の恐怖の穴も広がっていくような感覚だった。余りにも不条理過ぎる祟りで、腑に落ちぬ点もありモヤモヤ残る読了感。
冲方 丁
働くこと、生きること、幸せの意味ついて立ち止まって考えたい時ヒントを与えてくれる一冊。 著名人の名言集を兼ねた自己啓発本であり、後半は哲学的な内容も含まれる。 今後のキャリアに悩む社会人、就職を控えた学生にもお勧め。 胸にストンと落ちる言葉が多かった。
戸田 智弘
最初から叙述トリックであることを謳い、短編という制約があるからか今一つ作品自体の面白さに欠ける気がした。 軽快でコミカルな雰囲気漂う文体で、著者のユニークな発想力や意欲的な取組には好感。 二話目『背中合わせの恋人』は好み。 次回長編を読んでみたい。
似鳥 鶏/石黒 正数
著書『花束は毒』のイメージが強すぎて自分の中で若干ハードル上げ過ぎたかも…? 切なくもピュアな恋愛がクローズアップされたサスペンスでミステリ要素薄め。良くも悪くも裏切られた感じだが、2人の揺れ動く心の機微の描写は秀逸だったし、文章のテンポが非常に好み。
織守 きょうや
最近FFさんとの会話でもふもふ不足に気付き、図書館で借りたフォトエッセイ。 愛猫もみじ目線で綴られたかーちゃん達への手紙は、愛くるしいもみじの表情と上から目線の軽快な関西弁が見事にマッチして笑えて泣ける。共に過ごしたかけがえなき宝物に涙腺ダム決壊。
村山 由佳
シリーズ第二弾。名探偵赤ずきんが今回も大活躍! お馴染みの童話にミステリ要素が加わり想定外に形を変えて出現。所々相手をディスる描写がツボにハマってしまい今回も楽しく読了。「ハーメルンの最終審判」の話にはちょっと切なくなった。
青柳碧人
胸にじんわり温もりが広がったまま読了。まさに心の浄化。 読みながら亡き父と最後に交わすことになった言葉を思い出し、後悔の念が込み上げてきた。家族を大事にしなくては…。 こんな風に皆に思い出してもらえる乙美さんの生き方があまりにも素敵で見倣いたい。
伊吹 有喜
実に見事な滅茶苦茶ぶり。 コロナ禍で一変した日常により道を踏み外した3人の転落劇場はスリルも突っ込み所も満載。スピード感溢れ手に汗握る展開には終始ドキドキ。後半はノンストップで読了。身体だけでなく、精神も侵すコロナの恐ろしさを間近で見た思い。面白かった。
染井 為人
著者のデビュー作。 かけがえのない時間を過ごした少年2人のほろ苦くも胸熱になる友情物語。想像していたテイストとは大分違ったが、昭和世代の私には懐かしい描写がチラホラあり、ノスタルジックな空気感や料理の描写も好み。テキ屋の焼そばが無性に食べたくなった。
上田 健次
奇想天外ガチンコ頭脳バトルの連作短編。若干脳味噌が疲れるが(苦笑)面白い。 各ゲームのルールアレンジがユニークだし、全く予測がつかない心理戦、頭脳戦の展開もドキドキで読み応え抜群。特に『だるまさんがかぞえた』を読んだ後の爽快感といったらなかった!
青崎 有吾
強烈なインパクトと独特な余韻を残す一冊。 序盤から続いた息苦しさと違和感が中盤いきなり覆されて呆然…世界がひっくり返るとはまさにこの事。 光を感じればより闇を感じる感覚には妙に納得。価値観ひとつで現実世界の見え方がガラリと変わる心理描写が秀逸だった。
服部 まゆみ
小説家つぶやきシローさん初読み。 空回りばかりでなかなか報われぬ自意識過剰オジさんの日常。 著者のつぶやきネタを彷彿とさせる妄想劇場はすこぶる健在!クスリとくるフレーズ多数でいかにも著者らしい小説だった。幸せ感じる読了感。
つぶやき シロー
関東大震災の生々しい記録が綴られた衝撃の一冊。著者の情報収集力と丹念な描写力は圧巻。 火災旋風による本所被服廠跡の地獄絵図も恐ろしいが、 流言による朝鮮人虐殺、混乱に乗じた軍部の暴走等の惨劇をみるにつけ、極限状態で心が崩壊した人間が何より一番怖いと痛感。
吉村昭
某動物園が舞台の心温まる人間ドラマ。『アジアゾウの憂鬱』の話には涙。動物の生態や動物園の裏側等初めて知る事も多く、非常に興味深い内容。動物園の存在意義についても深く考えさせられた。徐々に人と人の思いが繋がっていくさまが感動的。
佐藤青南
慢性的な睡眠不足の私には早速試したいメソッド盛り沢山。 睡眠のいちばんの目的は「今日の疲れをとることではなく、明日を生きるための積極的な行動」とのフレーズにグサリ。 日中の活動同様睡眠も大事。睡眠の優先度を上げていこう。
三橋 美穂
ご当地ヒーロー✕ミステリー。このミス大賞最終候補作品だけあり面白かった。 テーマが新鮮だったし、後半真相を暴くシーンでは緊張感MAXで読み応え抜群。唯一ワンマン社長の暴君パワハラ場面のみいただけなかった。漫画作品も読んでみたい。
おぎぬまX
平本あきおさんがコーチングした実演の数々を公開し解説。 「感情と身体の重要性」「臨場感が引き出しのコツ」「doingではなく beingを明確に」…色々気付きがあった一冊。 自分もライフチャートをコピーしてやってみよう。
山崎拓巳/平本あきお
某喫茶店の不思議な時計が、悩める人を過去へいざない再生に導くファンタジックで温かい物語。 若干二番煎じ感が否めないが、昔懐かしの喫茶メニューやジャズ楽曲等、昭和レトロなアイテムの数々に心癒された。実際に店があればハツ子さんに会いに通うだろうな。
内山 純
「読者が犯人」になるトリック云々より、著者の真っ向から難題にチャレンジする熱量が素晴らしい。途中の超能力場面が最後綺麗に着地へと繋がり一応納得。 著者の文体はどうやら私の好みらしく、最後まで飽きずにスイスイのめり込めたので、他作品も読んでみたい。
深水黎一郎
帯の「脳の最盛期は50代って、知ってた?」に惹かれ購入。 日々脳の衰えを感じている私には大変勇気付けられる内容で腑に落ちた。 加齢により脳の仕組みが変わっただけ。年齢に合った効率的な使い方をすれば脳は何歳になっても成長できる!
加藤 俊徳
面白かった~! ジョーカーをひくのは誰なのか? 次々起こるスピーディーな展開にあれよという間に引き込まれるノンストップアクション。 続くまさかの展開の果てに、最後繰り広げられる逆転劇にはすこぶる爽快。黒幕の正体にも驚いた。胸のすく読了感。
宇佐美まこと
小説現代長編新人賞奨励賞受賞のエモい青春小説。 主に登場人物の感情の動きを重点的に描いた作品で、後半読み手の心の揺さぶり方が半端なし。感情移入し涙。 途上綴られる詩的な文章は、壮大な音楽と名画にマッチした味わいで、最後は爽やかな読後感。
実石 沙枝子
ガチガチのホラー。 立て続けに起こる怪異、あり得ない状況で死んでいく人々…あまりに盛り沢山で次第に恐怖心が麻痺状態に。苦笑 栃木県の田舎に佇む『最恐の幽霊屋敷』の真相に挑むという設定は面白かい。最恐の八人の悪霊に纏わるエピソードが一番怖かった。
大島 清昭
6話連作の相撲✕ミステリ(バカミス)。 いろんな意味でぶっ飛び過ぎた内容で、終始苦笑いしながら読了。あまりにも力士が死にすぎてツッコミが追いつかず。深く考えずに楽しむことをお勧め。続編『中相撲殺人事件』『小相撲殺人事件』を読むかどうかは検討中。笑っ
小森 健太朗
ホラー色濃いミステリ。 3話構成だが、1話めから3話に至るまでの持っていき方が流石。異常なまでの執着心に畏怖したかと思えば後半の予期せぬ展開にゾクリ。一番怖いのはあんたか!と。苦笑 本当に「他人が腹の中で何を考えているかなんてわからない」ものだ。
織守きょうや
地元民が愛する「ご当地おやつ」を多くのカラー写真と共に紹介した一冊。ロングセラーを中心に、地域ならではの個性豊かなお菓子続々。 一際懐かしかったのはおにぎり煎餅とボーロ。歴代パッケージやロゴデザイン等も見ていて楽しかった。
日本懐かし大全シリーズ編集部
様々な用例を挙げ、あらゆるクレームに毅然と対応できるスキルを教授する内容で大変勉強になった。 クレーム処理は「詫びる」「状況把握」「解決策の提案」の3段階。何より素早い謝罪が必要不可欠。
神岡真司
某南の島にある助産院が舞台となるハートフルな物語。 著者が紡ぐ言葉の数々に胸を打たれ、妊婦の心情の変化や命懸けの出産シーン等途中涙しながら読んだが、ラストがどうにも納得いかず、ポカーンとなってしまったのが唯一残念。 長老のキャラが素敵。大好き。(笑)
小川糸
テンポ良く楽しめるコメディ系ミステリ。 面白かった!読み手をグイグイ引き込む吸引力は強烈。多少無理矢理に感じた伏線回収もこの手の作品なら全然気にならない。ラストも好感。 著者の偶然屋シリーズを先に読んでいたが通じるものあり。続編気になる。
七尾与史
冬の寒さも忘れる程、心底温まる連作短編集。 人間誰しも躓くもの。ならその都度リカバリーすればいい。そんな優しくも力強いメッセージが胸に響いてきた。 人それぞれカバヒコのような心のセーフティーネット的存在に助けられて生きているんだよなぁ。
青山美智子
『名も無き世界のエンドロール』の続編。あの衝撃からキダ再び。 前作を知るからこそ胸に湧き上がるものあり、これぞノスタルジア!笑 「一日あれば、世界が変わる。」 色無き人生が徐々に彩られていく様には自然と笑顔に。今回は後味良い読了感で良かった。
行成 薫
思わず感嘆の溜め息が漏れる美しい絵画作品のような短編集。 各々某巨匠に関わる周囲の人物目線で語られており、フィクションを交えつつも著者が描くと全て史実と思えてしまう圧倒的なリアリティはさすがの一言。 モネ連作展に行く楽しみが増し増しになった。
原田マハ
砕けた語り口調でかなり緩めだが、私のような歴史苦手人でも楽しめる内容。 特にドラマ『大奥』の内容とリンクする部分は興味深く、 15人の徳川将軍が各々行った政策や人柄等、未知の史実にはかなり驚愕した部分もあった。
房野 史典
気軽に楽しめるドタバタコメディだが、映像化するとかなりおぞましい。そして食事前に読むのはあまりお勧めしない。だってGだし!笑 老舗ホテルで繰り広げられるわちゃわちゃ劇はそれなりに面白かったが、作品としては若干物足りなさを感じてしまった。(辛口)
成田 名璃子
蓋を開けてみたらば非常に深い部分の話で驚嘆。社会で生きづらさを抱える人々への強烈なメッセージが胸奥に突き刺さる衝撃的な物語で読了後は思わず心中拍手喝采。 特に終盤繰り広げられた対立劇はまさかの応酬連続で圧巻の読み応え。年明け1冊めに相応しい作品だった。
夏木 志朋
後味は悪いが、所々真梨ワールド炸裂で予想以上に面白いイヤミスだった。相変わらず著者お得意のドロドロな描写には身震いしたし(苦笑)、バブル時代の表現も何度かツボにハマった。今作は最後の伏線回収も分かりやすくて戸惑わず。一気読みをお勧め。
真梨 幸子
情報量豊富で読み応え抜群。笠置シヅ子の出生~活動・人物像他、当時の戦前戦後の時代背景に至るまで非常に良く纏まった内容。 恩師・服部良一や美空ひばりとの関係も興味深いが、三島由紀夫との対談箇所は意外で面白かった。
砂古口 早苗
どんでん返しのホラーミステリ。 途中までは臨場感もあり読み応え抜群だったが、クライマックスの急展開に愕然とし、開いた口が塞がらぬまま読了。最後は何だか置いてきぼりをくらったような複雑な気分。(苦笑) 予想裏切る結末とオチにはただただ気持ち悪さが残った。
澤村伊智
真の教育のあり方を問い、子供が勉強する事の意義を唱えた良書。 金の角!なかなか秀逸なタイトルだ。 俊介の頑張りや学力の武器を与えんと奮闘する加地先生の情熱には、何度目頭が熱を帯びたか知れない。 特に受験生の親御様や教育関係者にはお勧めの一冊。
藤岡 陽子
真実は「音」にある…今回も斬新な仕掛けで楽しませてくれた。 著者の思惑通り(?)まんまと騙され、思わず「天才かっ」と呟いてしまったが、最後の「死者の耳」だけは物言いがつく。 一番衝撃を受けたのは2話目「にんげん玉」。聞いて慌てて読み返し、真実が分かると…驚
道尾 秀介
タクジョシリーズ、大好き。 小気味いい文章のリズム、生き生きと描かれた夏子他ドライバー達の日常、クスッと笑える掛け合い…読んでいて幸せな気分になる。 最後にまさかのあのお店が出てきてニヤリ。小野寺ファンはほくそ笑みながら読んだはず。笑
小野寺 史宜
旅ができる仕事…一時憧れたが、想定外のトラブルや鼻持ちならぬ客への対応等仕事も決して楽でなく、添乗員に対する見方が大きく変わる。ひよっ子添乗員・遥の生き生きとした奮闘ぶりが眩しく、共に旅をしている気分になれたし、どの話も微笑ましかった。続編に期待。
近藤 史恵
那覇の市場にて古本屋を営む著者のエッセイ。コロナ禍での経験部分が六章で増補となっている。 古本屋業務や本の流通に留まらず、沖縄の出版事情や現地で店を続ける事への真っ直ぐな思いが綴られている。本が好きという情熱が詰まった一冊。
宇田 智子/高野 文子
長編ホラーミステリー。正直な感想、ぶっ飛んだ内容で面白かった。独特な世界観は著者ならではで、恐らく乙一ワールド好きには堪らないだろう。後半続く猟奇的かつ凄惨な描写の連続には鼻水も頁を捲る手も止まらず一気に読んでしまった。笑 ラストは切なくも温かい気分に。
乙一
さすが1970年代の作品。全体的に昭和臭プンプン漂うミステリー。 一読後、う~ん…これはアンフェアなのでは?の一言。ただ50年以上前の作品であること、著者のデビュー作という点を考慮すると、多少強引とも思える描写があれどアイデアは評価されるべき内容なのかも。
中町信
すきだらけ…なるほど!ふんわり独特な世界観が漂う素敵な物語。 絶品料理と様々な芸術とのコラボで悩める人々の心に息吹を吹き込む、ビストロ「つくし」。 料理描写が秀逸で味わいたくなるものばかり。心もお腹も満ちる世界で一番おいしい料理…食べてみたい!
冬森 灯
消防士・神谷夏美シリーズ第二弾。 生きる事への執念から勇気と知恵と振り絞り果敢に困難に挑み続ける夏美達。後半怒涛の展開で一気読み。 まさしくこれぞザ・パニック小説というに相応しい内容で、壮大なスケールの映画を観終わった後のような充足感。第三弾も楽しみ。
五十嵐貴久
粋でロッケンロールなおじ様達の東京湾釣り紀行。森沢氏とうぬま氏の小学校低学年レベルの掛け合いにニヤニヤしつつ終始楽しんで読ませて頂いた。 驚いたのは魚の解説や捌き方等のイラストが大変分かりやすかったこと!勉強になった。
森沢明夫
第26回松本清張賞作。 時代小説だが青春小説でもある内容でなかなか楽しめた。 自ら武功を立て士官の道を開かんと勇んだ西南戦争で、主人公・志方錬一郎が見出だしたものとは….? 癖強めで各々訳ありの男達の人間模様や、浪速商人の知恵が炸裂する場面等が特に印象的。
坂上 泉
お仕事小説の王道的一冊。 登場人物の細かい人間ドラマの描写はなかなか面白かったし、垣間見得る映画配給会社の裏側も興味深い。 自分も誰かの潮目になれるような生き方ができたら…。 同会社を舞台にした前作はまだ未読なので読んでみたい。
古内 一絵
温泉と美味しい物に目がない方にはお勧めの一冊。 ひたすら温泉に浸かって心身を癒し、その土地ならではの名物料理に舌鼓…空想は膨らみ非日常的世界へと心は旅立つ。 特に気になったのは武雄温泉の餃子会館、鹿児島のソウルフード「ざぼんラーメン」!
山崎 まゆみ
一枚の写真に短文が添えられたショートショート集。 写真の真意に気付いた時にゾクッとするもの、クスッとくるもの様々。中には言わんとしている正解にたどり着けないものもあり、サクッと読めるがじっくり思考し味わう楽しみもある。若干ホラー系の割合高めか。
誰に対する「贖罪」か…?いかにも湊かなえさん!という作品。 ジワジワと真綿で首を絞められるようなおぞましさ、胸糞悪さが続く中にも、先を読ませてしまう著者の筆致力の方が勝った。完敗。あのどうしようもない女には終始歯ぎしりしながら読んだ。これぞザ・イヤミス(笑)
湊かなえ
ここ数ヶ月で読んだコミュニケーションスキル本で一番感銘を受けた良書。苦手分野の為どの項目も目からウロコ。私はおそらく二流と三流の間くらい。15秒~30秒で相手に渡すのも納得。 雑談で会話に灯をともし、良い関係性を作りあげられたら楽しいよなぁ~。
桐生 稔
純一郎の心境には身につまされる思い。腰を据えて先の人生を黙考するのに喫茶店は最適な場だ。 中高年の再就職や店舗経営の厳しさには胸痛んだが、各喫茶店の珈琲やスイーツの美味しそうな描写にはウキウキ。あんこは苦手だが、あんバタートーストを食べたくなる程。笑
原田 ひ香
逆転てどんな逆転?とワクワクしながら読み進め、後半頭が混乱したものの(笑)明るい気分で読了。 「逆転美人」のトリックの衝撃ほどではないが、ストーリー展開が魅力的。なるほど、今回はそうきたか!と引出しの多さに感心しきり。藤崎翔さんの作品はやっぱり面白いわ。
藤崎 翔
底辺労働やブラック企業に従事する人々への取材を通し、現在の格差社会の実態を浮き彫りにした一冊。 生きづらい世の中の現実を目の当たりにし、生きる為には幅広い情報収集と図太さも必要である事を痛感。ホームレスの話には貧困の中にも生きる逞しさを感じた。
増田明利
想像以上に生姜パワーは凄い! あらゆる病気は血液の汚れによるもので、「体を温め、少食にする」ことが病を治す方法であり、生姜を日々の食事に採り入れる事で様々な病を予防、改善できる…という内容。 水分の摂り過ぎが病気につながるのは驚きだった。
石原結實
女性ドライバー・夏子の日常と彼女をとりまく人間模様が生き生きと描かれたハートフルな物語。著者作品を読むのは3冊め。読後の後味が非常に良かった。 タクジョならではの職業上のリスクや悩みがリアルに伝わり、業界の内情が垣間見得てお仕事小説としても楽しめた。
頭では分かっているはずのことの再確認の意味で読んだが、非常に分かりやすくて濃い。いかなる場面でのコミュニケーションにも活かせる内容。 特に「心に響く自己紹介」を作る下りや、 「言葉」だけでなく、その奥にある「感情」にフォーカスする…等が印象的。
永松茂久
今年話題のドラマ『ハヤブサ消防団』の原作。連続放火事件に隠された真実はいかに…? 所々ドラマとの展開の違いを楽しみながら読み進めたが、視覚によるインパクトや話の組立方等を考えると映像化のアレンジバージョンはなかなか優れてるのでは?と思っている。
池井戸 潤
著者のエッセイ3冊め。 彼が書く言葉に首肯する度、まるで私の内面を代弁してくれているかのような思いとなり、すっかりオバハンになった私のハートもしばし共鳴。 著者に負けず劣らずかなり「ナナメ」であることが分かりしっくりきた。 「肯定ノート」良いなぁ~。
若林 正恭
初読み作家さん。シリーズものと知らずに読んだがすんなり入れた。 登場人物のキャラや物語の雰囲気に心が和み、お店に並ぶバラエティーに富んだサンドイッチを想像するだけで唾が溜まる。 「驚きのパン」が良かった。 今は無性にクロックムッシュが食べたい!
谷 瑞恵
著者作品のイメージから程遠いハードな展開に思わず面食らったが、読み進めるうちにいつもの森沢節が随所に見受けられてホッ。 人と人、母と子の絆が温もりある文章で描かれており、自然と胸奥から熱きものこみ上げた。 私も老いてきた目を鍛える為宝探しをしよう。笑
満足度の高い現代ミステリーで面白かった。 衝撃度で言えば前作「方舟」が上回るが、最後の最後にどんでん返しでまたもや唖然呆然。あのセリフはもしや…?(怖) 「十戒」の細かい設定がすこぶる秀逸で、犯人の頭のキレ具合に畏怖の念を抱きながらも感服の思いすら沸いた。
夕木 春央
インパクト抜群の装丁から想像したものとは全く違う内容で肩透かしを喰らったが、いい意味で裏切られた。 最後のエピローグの後に慌ててプロローグを読み返し、してやられた感の中にも穏やかな読後感。作中の『バールのようなもの』の使い方が鮮やかだった。
青本雪平
2020年直木賞受賞作。 様々な境遇の人々が、とある犬・多聞に関わり、癒され、暗闇に一筋の光を見出だしていく描写に心揺さぶられる。特に猟師の話と表題作はグッときた。最終話には涙。 どちらかといえば猫派だが、犬と人との強い絆に感動し、犬って凄いと思わされた一冊。
馳 星周
『それからはスープのことばかり考えて暮らした』に登場するリツくんが主人公の「月舟町三部作」番外編。 リツ君と共に初心に返る思いで様々な人の仕事に対する想いに耳を傾け、楽しい時間を過ごした。 右のポッケにゃ百円玉がある~🎶 左のポッケにゃ回数券~🎶
吉田篤弘
伝え方にもレシピがあり、技術を鍛えることで上達できることが分かる一冊。 流石伝え方の達人!読み始めてすぐ著者の熱意がビシビシ胸に響いてきた。笑 「ノー」を「イエス」に変える技術と「強いコトバ」をつくる技術を手に入れたからには早速日常にてアウトプット⤴️
佐々木圭一
ゆるい感じのコメディ警察小説で、休日気楽に読むには最適。連作短編だが章が進む毎に面白さが増していく。 登場人物の性癖や嗜好他、随所で出会す著者のユーモアセンスは健全で、特に『読心刑事と老人ホーム』の話ではかなり笑わせてもらった。シリーズ化に期待。
表紙のインパクトほどの衝撃はなかったが、案の定胸糞悪さが残るイヤミス。 時系列がバラバラで読みずらさを感じながらも、女同士のドロドロ話は嫌いではないらしく(笑)スイスイ読んでしまった。 自分も女子高出身だが、こんな学校恐ろし過ぎて3日ともたないわ。笑
真梨幸子
『空腹』こそが健康と長寿の鍵であると謳い画期的な食事法を推奨する内容。 16時間断食による空腹パワーが全身の細胞を修復→大病を予防し持病改善。実際にガンを経験した医師の言葉だからこそ説得力が増す。 まずは自分のできる範囲…週一で始めてみたい。
青木厚
読んだら思わずスーツケースを片手に旅に出たくなる9編の連作短編集。 暫く日常を離れ異国の新鮮な風を感じに遠くまで行きたい!笑 旅の目的や楽しみ方も人生も人それぞれで非常に趣深い。 最後はちょっぴり切なくなるも伏線の回収にはスッキリ。表紙も素敵。
近藤史恵
全4編の短編集。 当初ファンタジー的なノリなのかと思いきや、現代社会や家族の有り様を皮肉るシュールでメッセージ性の強い物語だった。突拍子もない発想やユーモアな切り口もお見事で、風刺が効いていて面白い。 特に私は最後の『シューシャイン・ギャング』の話が好きだ。
原宏一
笑える33篇の短編集。 油断すると急遽笑いツボを刺激される為公共の場では読めない。爆笑まではいかずとも堪えきれず何度か笑い声漏れた。 笑うと免疫系機能が向上するようだし健康にも良い一冊かと。
やーこ/栖 周
山田うどんは家族で一番訪れた外食チェーン店…郷愁に浸る。 取材エピソード他、戦国時代やゲームに喩えての山田の立ち位置や歴史の語り口が大変面白く、凄まじい山田熱を感じた。(笑)
北尾 トロ/えのきど いちろう
手話通訳という仕事の他、コーダ等の専門用語や手話の種類等、新知識に触れ世界が広がったことが何より嬉しい。ミステリとしても良く練られていて面白かった! ドラマ化されるのがとても楽しみ。 ろう者や手話により興味を持つきっかけとなる一冊。
丸山 正樹
ほのぼのエッセイだが、胸裏で人一倍強い炎を密かに燃やしていた事に驚く。挿絵も流石。 特にボクサー時代の梅津さんとのエピソードには胸詰まった。 私も自分の弱さを認めながら強さを求めて生きていこう!
しずちゃん(南海キャンディーズ)
とあるカレーが軸となり、数々の冒険やら謎解きも盛り込まれつつ若者達が奮闘、成長していく青春小説。 カレーのルーツ他インドや沖縄の食文化等知的好奇心も満たされ、ページを捲る度スパイシーな香りが漂ってくるようで何度も空腹を感じた。あ~ラフテーが食べたいっ!
竹内真
オカルト要素強めの社会派ミステリー。 話がどの方向にいくか気になり没入したが、若干不完全燃焼で切ない読後感。 物語が進むにつれ松田が徐々に記者としての熱意を取り戻し、死者に想いを馳せる場面には胸が熱くなった。 一度でいいからロマンスカーに乗ってみたい。笑
高野 和明
脳の老化を防ぐ為に前頭葉を鍛える様々な方法について紹介している。 印象的だったのは、 時には恋もしてみる、あえて「ムカつく」本を読む、「ウォーキング」より「のんびりお散歩」等。 早速ムカつく本を探してみます。笑
和田 秀樹
特殊設定のミステリだが面白かった。 特に後半の伏線回収には思わず感嘆符。学校という小世界の比喩表現も一理あると首肯。人間関係に悩める学生にお勧め。 集団生活での息苦しさは誰しも程度の差はあれ感じる事。その中でいかに楽しく過ごすかは自分次第。
浅倉 秋成
銀座の老舗文房具店・四宝堂が舞台の心温まる連作短編集。 人の思いに優しく寄り添う店主・硯さんを前に皆が素直に胸の内を吐露してしまう。中でも1話め「万年筆」が特にホロリ。 読了後は穏やかな余韻に浸りながらも、ちょっと良質な文房具が欲しくなる。
特殊な設定での異色ミステリ。 事件の凄惨さと、それとは程遠い和気あいあいとした空気感との対比が実に面白い。 徐々に明らかになる法則を元に自分なりに犯人を推理するのも楽しかったが、こんな天国なら死ぬのが怖くなくなるなぁと思ってしまった。笑
五条 紀夫
このシリーズで読むのは2冊目だが、ゾッとする好みの話が多め。 少ない文字数でオチ付の物語を考えつくのが凄い。 「夢のマトリョーシカ」は実際経験あり。起きたと思ったら夢で、また目覚めたと思ったらそれも夢で…笑
氏田 雄介
以前読んだ『美女のたしなみ』が面白かったので図書館より拝借。病院の順番待ちの間にニヤニヤしながら読了。 芸人とOLの二足のわらじ時代の話。自虐的ユーモアを交えつつ、思う存分心の裏側に溜まった毒を吐き散らかしてる感じが気持ち良かった。
大久保佳代子
どんでん返し系のミステリー短編集。 最後のページをめくった後に感じる衝撃を味わいたくてワクワク、ハラハラしながら読了。 イヤミスなので読了後の気分は決して良くはないが、全体的に面白かった。「使い勝手のいい女」「わずかばかりの犠牲」が好み。
水生大海
某怪談話を元ネタにし、コミカルにアレンジされた連作短編集。 想像した内容と遥かに違ったが好み。 生者と死者の境界線の曖昧さや、登場する幽霊が皆明るくポジティブなのが面白い。謎会社のビジネスが気になる。懸命に生きる女性へのエールを感じた。
松田 青子
パワハラ箇所に嫌悪感を抱きつつも、バレエの世界観と登場人物達の心情描写の秀逸さに終始惹き込まれながら読了。 ミステリより芸術的要素が濃い内容で、全てを捧げ心酔するあまり気付かぬ内に狂気と化してしまう恐ろしさを感じた。殺人動機に若干モヤモヤ。
芦沢 央