読み終わって直ぐに「嘘に見えない嘘」と言う言葉が頭を過った。
作者は美術の知識があるだけに史実と史実の隙間を狙って想像を巡らす。
ゴッホとゴーギャンの話は有名だけど、私達は「解説」に引き擦られている部分が大きいとも言える。
ここまで詳しくは知らなかった。
ゴーギャンがゴッホに嫉妬していた…
視点を変えればそうとも言える。
余りにも書くことに関して一途なゴッホ。確かにサラリーマンから転向したゴーギャンとは大きく違っている。
サスペンスを通して逆の視点から二人を見つめることができる。
どんな歴史にも疑問を持ち、或いは逆の視点から見てみることも大切なことだと感じた。
それは史実を突き止めることではなく、人間を突き止めることが大切だからだ。