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らいかさんの感想、レビュー

「銀河鉄道の父」 映画化するということで本屋さんに平積みされててるのを見て知り、宮沢賢治が好きなのでやはりこの本は外せないと思っていたのだが、門井慶喜さんは読んだことなかったし、ぱっと見の印象、なんだか真面目で固そうな話かもしれないなと思ってたので、買うまでに少し時間がかかった本。 ところがどっこい、これは..... めちゃめちゃいい。 なんといっても父である宮沢政次郎が可愛い。父として厳格であるべきと、厳格に振る舞おうとするがどうしても我慢できずに賢治を甘やかしてしまうところなどとてもかわいい。 そして宮沢賢治のイメージがガラリと変わってしまった。アメニモマケズカゼニモマケズの詩のように、物静かで清貧で農民のために全てを投げ打ってみたいなイメージだったのだが、いやいやどうして、そこに至るまではなかなかの甘たれ坊主だし金持ちの子でぼんぼんだったとは知らなかった。 さらに妹であるトシのイメージもがらりと変わる。宮沢賢治の有名な詩、永訣の朝での「アメユジュトテチテケンジャ」とはかなく病床で呟く姿しかなかったが、いやいやどうして、賢治を超える才女で文才も素晴らしかったときた。 読んでみてわかるが、この本は宮沢賢治の父の話などではなく、宮沢政次郎の話である。厳格な父であろうとした男の話である。その男は、とても魅力的で愛情が深かった。一読の価値あり。 P.S.そんな男を役所広司が演じるだとう。これは映画が楽しみでしかない。そして100%泣く自信がある。だって本の時点で泣いてるんだもの。

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