Bookstand
Bookstand
文庫版 書楼弔堂 炎昼

文庫版 書楼弔堂 炎昼

京極 夏彦

集英社

Amazonで詳細を見る

作品紹介、あらすじ

明治三十年代初頭。人気のない道を歩きながら考えを巡らせていた女学生の塔子は、道中、松岡と田山と名乗る二人の男と出会う。彼らは幻の書店を探していてー。迷える人々を導く書舗、書楼弔堂。田山花袋、平塚らいてう、乃木希典など、後の世に名を残す人々は、出会った本の中に何を見出すのか?移ろいゆく時代を生きる人々の姿、文化模様を浮かび上がらせる、シリーズ待望の第二弾!

感想やレビュー

京極夏彦「書楼弔堂 炎昼」 田山花袋、平塚らいてう、乃木希典...そして松岡國男。 前作の「破曉」よりも面白さが増した気がする。 塔子という語り部がいるからだろうか。 今回の話の中で原文一致運動が出てくるが、この原文一致運動というのがとても面白いと思う。話す言葉と書く文字が違うという文化ははたして日本だけなのだろうか。言葉が先か文字が先か、鶏が先か卵が先か問題みたい。 シンプルに考えるとまず言葉ありきだと思う。言葉がまずあって、これまたシンプルに言葉を文字にするってのが素直な流れなのだが、なぜ話してることと違う言葉を記すのだろうか。 ただ、もし言葉のない狩猟時代がなんかに洞窟内に見た動物の絵を描いて記して、それが文字に変化していったとしたら文字が先に生まれた可能性もある。そして描いた動物を説明するために言葉が生まれたと。 ああやっぱり言語学とか学んでみたい気がするなあ。不思議だ。 話が逸れた。どうにも京極夏彦の本を読むとこうやって別のことを考え出すからいかん。 今回の話の中では平塚らいてうと乃木将軍の話が好きかな。「人が死なねばならぬ義などない」うん。まさにその通りだと思う。 よく法事なんかで坊さんがお経を読んだ後に説教をやるときの話は好きではないのだが、弔堂の主人の説教(元僧侶だから説教ではないのか)であればもっと聴いていたい気がする。

App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう