らいかさんの感想、レビュー
らいか
タイトルで惹かれて買った本。清水朔さんは初めての作家さん。文体としてはずっと入ってくる文体ではなかったけど、面白かった。2作目に期待。
清水 朔
新潮社
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澤村伊智「ししりばの家」読了。 面白かった。いや面白かった。 面白すぎてほぼ一気に読み終わってしまった。まあ、今回出張で新幹線に乗って時間があったのもあるが。特に今作は琴子が主人公なので琴子好きとしてはたまらない作品。小学生の時の琴子はあんなにおどおどしてたのか。ふむふむなるほど。 そして今作に全編ずっとまとわりつくようにでてくる砂...砂....砂....高校の時に読んだ安部公房の「砂の女」を思いざざ..出しざざざざさ...しまっざざざざああああーーーー....ああ、頭の中に砂が.... となってしまいそうなほど。 しかし澤村伊智さんの4文字のひらがなで綴るタイトルの響きのセンスはすごいなと。「ぼぎわん」「ずうのめ」「などらき」「ししりば」。なんだかよくわからない言葉たちなのだが、なぜか不穏な感じを受ける言葉。 だめだ、もうこの比嘉姉妹シリーズが止まらない。今日本屋で「ぜんしゅの跫」と「さえずちの目」買っちまったよ。楽しみだ。
澤村伊智
円城塔「バナナ剥きには最適の日々」 円城塔。名前は知っていたが読むのは初めて。確か若くして亡くなった作家さんが未完で終わった小説を引き継いで完成させた人ぐらいの知識。 解説によると円城塔の小説は「わからないけどおもしろい」と言われてるのだそうな。 確かに。 文章自体はとても読みやすく、一文一文は全て理解できるのに、全体を通すとわからなくなる。ただ、完全にわからないのではなくなんとなくはわかる。これが「わからないけどおもしろい」と言われる所以か。 言葉遊び、思考遊び、円城塔の夢の中に紛れ込まされたような感覚。それが好きかどうかなのかな。そして、どちらかと言えば好きである。 今作は表題含む10編の短編集。 全部が全部好きではなかったが、個人的に好みで行くと表題作の「バナナ剥きには最適の日々」と「equalのⅢとⅣ」と「捧ぐ緑」が好き。 「バナナ剥き」はバナナ星人が3枚皮と4枚皮に分かれてて、自分がどちらだったのかは死んでから剥いてみないと判別できないというのは面白かった。 「捧ぐ緑」はこれで一本小説が書けるような気がする。 1番わからなかったのが「墓石に、と彼女は言う」かな。何回読んでも難しかった。 うん、でも総じてやはり わからないけど、おもしろかったな。
円城塔
中島らも「こどもの一生」読了。 ずいぶん昔に舞台で見た「こどもの一生」たしか吉田鋼太郎とか出てたはず。みっちゃん役だったかな。ネットで調べると谷原章介がかっちゃん役だったかと驚き。 本小説はその舞台用の脚本を中島らもが小説版に仕上げたもの。 中島らもは20代の頃にはまって読み漁ったなあ。ずっと小説一辺倒だった自分が初めてエッセイ集というのに手を出した人かもしれない。そしてああコピーライターというものにもなってみたいなと思わせてもらった人。 最後に本人後書きがあるのもうれしい。久しぶりにらもさんに会えたよ。 本人後書きにもある通りこの作品は超B級ホラー。特に後半のピンポーンからはジェットコースター並みに話が進む。 舞台も大好きだったけど、小説版もやっぱ好きだなあ。 ああ、ガダラの豚も読みたくなってきた。
中島らも
澤村伊智「などらきの首」読了。 比嘉姉妹シリーズ第三弾。そして初の短編集。 めちゃ面白かった!「ぼぎわんが来る」「ずうのめ人形」と長編を読んできて、比嘉姉妹シリーズいいなあ、澤村伊智さんいいなあとなんとなく思ってたのだが、今回のこの短編集で大好きになった!! いい!比嘉姉妹とか野崎のサイドストーリーでキャラクターの深みが増していく感じ。大好きだ。全部で6つの短編が入ってるんだけど、やはり「居酒屋脳髄談義」がダントツに好き。なぜなら大好きなドグラ・マグラがオマージュされてるから。そしてこの短編の主役、ひとことも誰と書かれていないのに琴子だとわかるとこ。かっこいい。 そして「学校は死のにおい」ではなんと美晴がでるのである。くぅ..美晴...。 悲鳴だけが比嘉姉妹でもなく野崎でもなかったので不思議に思ってたが、そうかリーたんがずうのめの人形のあの子か。なるほど。 ということで、比嘉姉妹シリーズにどっぷりハマってしまいました。 次作「ししりばの家」を手に入れねばだ。