らいかさんの感想、レビュー
らいか
6月に映画があるので急いで履修。文体が短くとんとんと読みやすい。声に出して読みたくなるやつ。
古川 日出男
河出書房新社
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三上延「ビブリア古書堂の事件手帖 扉子たちと継がれる道」読了。 主人公が栞子さんの娘、扉子になってからのシリーズ4作目。ほんとこのビブリアのシリーズはなんかずっと面白い。ミステリー小説だが基本的には殺人事件は起こらず、本にまつわる謎解きがメイン。この謎と謎解きの加減が絶妙。今回は夏目漱石を含む鎌倉の文士達が立ち上げた「鎌倉文庫」がテーマ。 そして今作はなんと言っても智恵子、栞子、扉子の3世代が絡むのである。しかも智恵子に至っては学生時代の智恵子と、後に栞子の父になる登も登場するというか登の視点での章があるのだよ! と、こう書いてもこのシリーズを読んでない人にはさっぱりだろう。だがそれでよい。なぜならシリーズ通算11作目にあたるのだから、シリーズを読んでる人にだけ分かればよいかと。ね。
三上 延
京極夏彦「書楼弔堂 炎昼」 田山花袋、平塚らいてう、乃木希典...そして松岡國男。 前作の「破曉」よりも面白さが増した気がする。 塔子という語り部がいるからだろうか。 今回の話の中で原文一致運動が出てくるが、この原文一致運動というのがとても面白いと思う。話す言葉と書く文字が違うという文化ははたして日本だけなのだろうか。言葉が先か文字が先か、鶏が先か卵が先か問題みたい。 シンプルに考えるとまず言葉ありきだと思う。言葉がまずあって、これまたシンプルに言葉を文字にするってのが素直な流れなのだが、なぜ話してることと違う言葉を記すのだろうか。 ただ、もし言葉のない狩猟時代がなんかに洞窟内に見た動物の絵を描いて記して、それが文字に変化していったとしたら文字が先に生まれた可能性もある。そして描いた動物を説明するために言葉が生まれたと。 ああやっぱり言語学とか学んでみたい気がするなあ。不思議だ。 話が逸れた。どうにも京極夏彦の本を読むとこうやって別のことを考え出すからいかん。 今回の話の中では平塚らいてうと乃木将軍の話が好きかな。「人が死なねばならぬ義などない」うん。まさにその通りだと思う。 よく法事なんかで坊さんがお経を読んだ後に説教をやるときの話は好きではないのだが、弔堂の主人の説教(元僧侶だから説教ではないのか)であればもっと聴いていたい気がする。
京極 夏彦
ホーガン「星を継ぐもの」読了 言わずと知れたSFの金字塔的作品。なのだが読むのは初めて。なぜなら翻訳本だから。翻訳本が苦手なのはまずは名前。ファーストネームで読んだり愛称になったりとで覚えるのがとても難しい。次に比喩表現が日本と違うから戸惑う。特に会話の中の比喩表現。でもそれを乗り越えて読んで良かった。有名なだけはある。 いやすごい。これはほんとすごい。 何がすごいってこれが描かれたのが1977年ってとこ。前半は翻訳本に慣れてないとこもあって結構読むのに時間かかったのだが、後半はもうほぼ一気。 1977年初版。ホーガンさんごめんなさい。人類はまだ全世界共通になって宇宙探索のため共同技術開発するって時代に至っていないです。まだまだ世界はお互いにいがみ合ってます。 小説の中では2058年には木星探索を行えるようになってるんだが、まだまだ先だなあ。 この小説。SFなのだが、どちらかというと推理小説を読んでるかのような感覚に陥る。 あらすじにも書いているけど冒頭、月で赤い宇宙服を着た謎の宇宙人の遺体が見つかる。チャーリーと名付けられたその遺体がなぜそこにあったのか、そして最も不可解な謎はチャーリーの死体が5万年前だということ。その謎を解いていくのがメインの話だからだ。 しかしその謎解きの加減が抜群だ。 主人公のヴィクターハントがまるでアームチェアディティクティブをしているかのようだ。 そしてもう1人の重要人物ダンチェッカー。シャーロックホームズで行くとワトソンの位置になるのだろうか。反目し合ってたから違うかもしれんが。 SF好きなら一度は読んでおいた方がいい作品かも知れない。面白かった。
ジェームズ・P.ホーガン/池央耿
劉慈欣(リウ・ツーシン)「三体」読了。 普段翻訳本はほぼ読まないのだが、文庫化され平積みされてる表紙を見てたら、なぜ読まないという得体の知れない圧を感じたので読み始めてみた。 本に挟まっていた登場人物表を見て少し後悔。翻訳本が苦手なのはこれなのよ。登場人物からして葉哲泰(イエ・ジョータイ)、葉文潔(イエ・ウェンジェ) 、葉文雪(イエ・ウェンシュエ) ...名前が覚えられない。 でもこの文庫版。優しいのはそのページの最初に名前が出てくる時は、何度出てきた人でも必ずルビを振ってくれている。これが非常に助かる。あれこの人の名前なんて読むんだったっけって見返す時、読んでるページの最初あたりを探せばいいんだもの。ありがたいねえ、と読み進めていくとおいおいなんだこの小説.... 抜群に面白いぞ。 もうワクワクする言葉だらけ。科学の境界とか 、物理学は存在しないとかから始まって、いやまじか2進数をいやコンピュータをそう表現するのとか、太陽のエネルギー鏡面で反射力増強、からのそういう展開かぁ!とか、もうたまらんちんもとっちめちんなのである。 そしてストーリー展開もまた激動。あああ、文潔(ウェンジェ)..... ってなったり、あとまた史強(しーちゃん)がいい。最初ムカつくやつだけど、お前そのタイミングで出てくるかってとこがとてもいい。主人公同様に大史ーー!!って叫びたくなる。もう感情が大忙し。 ただこれ読むのにはかなり力が入るのも確か。ゆっくり読み進めないといけないので時間がかかる。あと相対性理論、量子力学、粒子加速器など どんなものかぐらいは知ってる必要があると思う。 でもそれを置いても抜群に面白い。世界的に大ヒットしたというのも頷ける。こりゃ面白いわ。はやく続きが読みたい!!
劉 慈欣/大森 望/光吉 さくら/ワン チャイ/立原 透耶