らいかさんの感想、レビュー
らいか
中野のお父さんシリーズの第二作。
北村 薫
文藝春秋
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ホーガン「星を継ぐもの」読了 言わずと知れたSFの金字塔的作品。なのだが読むのは初めて。なぜなら翻訳本だから。翻訳本が苦手なのはまずは名前。ファーストネームで読んだり愛称になったりとで覚えるのがとても難しい。次に比喩表現が日本と違うから戸惑う。特に会話の中の比喩表現。でもそれを乗り越えて読んで良かった。有名なだけはある。 いやすごい。これはほんとすごい。 何がすごいってこれが描かれたのが1977年ってとこ。前半は翻訳本に慣れてないとこもあって結構読むのに時間かかったのだが、後半はもうほぼ一気。 1977年初版。ホーガンさんごめんなさい。人類はまだ全世界共通になって宇宙探索のため共同技術開発するって時代に至っていないです。まだまだ世界はお互いにいがみ合ってます。 小説の中では2058年には木星探索を行えるようになってるんだが、まだまだ先だなあ。 この小説。SFなのだが、どちらかというと推理小説を読んでるかのような感覚に陥る。 あらすじにも書いているけど冒頭、月で赤い宇宙服を着た謎の宇宙人の遺体が見つかる。チャーリーと名付けられたその遺体がなぜそこにあったのか、そして最も不可解な謎はチャーリーの死体が5万年前だということ。その謎を解いていくのがメインの話だからだ。 しかしその謎解きの加減が抜群だ。 主人公のヴィクターハントがまるでアームチェアディティクティブをしているかのようだ。 そしてもう1人の重要人物ダンチェッカー。シャーロックホームズで行くとワトソンの位置になるのだろうか。反目し合ってたから違うかもしれんが。 SF好きなら一度は読んでおいた方がいい作品かも知れない。面白かった。
ジェームズ・P.ホーガン/池央耿
劉慈欣(リウ・ツーシン)「三体」読了。 普段翻訳本はほぼ読まないのだが、文庫化され平積みされてる表紙を見てたら、なぜ読まないという得体の知れない圧を感じたので読み始めてみた。 本に挟まっていた登場人物表を見て少し後悔。翻訳本が苦手なのはこれなのよ。登場人物からして葉哲泰(イエ・ジョータイ)、葉文潔(イエ・ウェンジェ) 、葉文雪(イエ・ウェンシュエ) ...名前が覚えられない。 でもこの文庫版。優しいのはそのページの最初に名前が出てくる時は、何度出てきた人でも必ずルビを振ってくれている。これが非常に助かる。あれこの人の名前なんて読むんだったっけって見返す時、読んでるページの最初あたりを探せばいいんだもの。ありがたいねえ、と読み進めていくとおいおいなんだこの小説.... 抜群に面白いぞ。 もうワクワクする言葉だらけ。科学の境界とか 、物理学は存在しないとかから始まって、いやまじか2進数をいやコンピュータをそう表現するのとか、太陽のエネルギー鏡面で反射力増強、からのそういう展開かぁ!とか、もうたまらんちんもとっちめちんなのである。 そしてストーリー展開もまた激動。あああ、文潔(ウェンジェ)..... ってなったり、あとまた史強(しーちゃん)がいい。最初ムカつくやつだけど、お前そのタイミングで出てくるかってとこがとてもいい。主人公同様に大史ーー!!って叫びたくなる。もう感情が大忙し。 ただこれ読むのにはかなり力が入るのも確か。ゆっくり読み進めないといけないので時間がかかる。あと相対性理論、量子力学、粒子加速器など どんなものかぐらいは知ってる必要があると思う。 でもそれを置いても抜群に面白い。世界的に大ヒットしたというのも頷ける。こりゃ面白いわ。はやく続きが読みたい!!
劉 慈欣/大森 望/光吉 さくら/ワン チャイ/立原 透耶
高田大介「図書館の魔女 第四巻」再読了。 あああああ、読み終わってしまった。読み終わりたく無かった。ずっとこの世界の中にいたかった。 すごい。 ほんとにすごい小説だ。 3巻の終わりのマツリカと二ザマ帝の腹の読み合いの答え合わせから、序盤の地下水路での発掘まで、これまで蒔かれた全ての伏線がどんどん繋がっていく気持ちよさ。 その快感に酔いしれながらの歴史的会合、二ザマ、一ノ谷、アルディシュの三国会談。キリンの弁舌に取り込まれるアルディシュの2人。その小気味良さにコシュート同様ぷわっと鼻息を吹いてしまう。もう読んでいて顔が綻びつつ泣いてしまうというね。 そしてキリンの活躍を見てほっとしたのも束の間、宿敵を追い詰めにいくマツリカ達。それにつきそうオルハン、アキーム、アダン、イズミル、そしてヴァーシャ...。物語序盤でマツリカの水遊びにただの護衛任務として仕えたもの達。キリヒトの宿命と共にマツリカがただの護衛ではない、ひとりひとりが人間であると認識した仲間たち。 その仲間達と激動を共に過ごし我が家へ帰ってきて食べるイラムの作る一杯のスープ。まるでそれを読んでいる自分も一緒に飲んでるかのように身体に染み込む暖かさ。 それ共にその夕餉にまだまだ帰って来れないキリン。これがまた堪らない。ずっとニヤニヤしながらも泣くという訳のわからない感情。 そして最後に一番大事な場面。マツリカとキリヒト。胸が締め付けられる。単純に恋とか愛とか言葉で説明できる感情ではないなにか。言葉にした途端に陳腐なものになってしまいそうな大切な2人の感情。 もう涙が止まらない。 なんという小説なんだろう。 もう一度言う。 すごい。
高田 大介
高田大介「図書館の魔女 第三巻」再読了。もう見どころてんこ盛り。マツリカによる偽書をめぐる文献学講義に、一巻最後の水路の伏線の回収が始まり、農学者と共に胸が熱くなったところで、迫り来る敵のマツリカを封じる魔の手、からのマツリカと二ザマ帝とのギリギリの読み合い。あああたまらない。たまらないのにあと1冊で終わってしまう。わかってる。再読だからもう全部わかってる。でもなんだろう、あと1冊で読み終わってしまうというこの寂しさは。読み終えたくないのに読み進められずにはいられないこの物語力は。さあ、最終巻に入ろう。