ニックネームが設定されていませんさんの感想、レビュー
虐待やネグレクトを細かく描いた作品。2024/3/1に映画化されたみたいなので、ぜひ見に行きたい😆主人公 三島貴瑚(キナコ)は過去に虐待を受けた経験があり、落ち込みやすい性格だったが、高校時代の友だちである牧岡美晴・美晴の先輩である岡田安吾(アンさん/トランスジェンダー)・家の修繕をお願いした業者の村中眞帆(まほろ) この3人にたびたび助けられて少しずつ明るくなっていく。自分もこのような存在を見つけられるように頑張りたい💪そして、「人を信じすぎること」も自分の身を滅ぼしかねないことも学んだ。新名主税(ちから)は貴瑚が就職した工場の専務で、立場的にも接点はないだろうと思っていたが、従業員同士の喧嘩に巻き込まれたことがきっかけで知り合いとなり、その後お付き合いをするようになる。すごく気さくで人当たりもよく、この人となら一緒にいても大丈夫!といろんなところに行って関係を深めたが、心の支えであったアンさんの件をめぐり、憎しみから突然貴瑚に暴力・暴言を浴びせるようになり、人が変わってしまい、トランスジェンダーであるアンさんは人間性の解離に悩み、お風呂の中で自殺してしまった😭自分も人を信じすぎてしまうところがあるので、完全に信じることはせず、少し疑いを持ってこれから生きてみようと思った。タイトルの「52ヘルツのクジラ」は、クジラが出す音の周波数は10~39ヘルツくらいで仲間とコミュニケーションをとっているが、1匹だけ52ヘルツの音で鳴くクジラが実際におり、この音の高さが他の仲間には聞こえないため、どんなに辛くても苦しくても誰にも伝わらない😢虐待を受けていた貴瑚の心や、飲食店で働く美琴の子どもである52(貴瑚が名付けた)も母である美琴からひどい虐待を受けており、いつしか話すことが怖くなっていた…この2人の心境も周囲の人には届かず、ずっと抱え込んでいることから52ヘルツのクジラだと感じ、いじめを受けていた自分の状況と重ね合わせ、泣きそうになりながら読んでいた…文庫本買おうかな🙄