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星を掬う

星を掬う

町田 そのこ

中央公論新社

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作品紹介、あらすじ

辛かった、哀しかった寂しかった。痛みを理由にするのは楽だった。でもー。すれ違う母と娘の物語。

感想やレビュー

毒親育ちとしてはとても気になる内容でした。読み終わりは暖かい気持ちになりましたが「成人したら人生を親のせいにしない」というような話はちょっと納得いかず。 特に結城の「そういうのは10代のうちに終わらせないと」というのはかなり無理だと思いました。まぁでも毒親に育てられてない方や虐待についてあまり詳しくない方はそう言う思想を持つのは仕方ないかもしれません。 心身共に虐待まがいのことをされると(両親の激しい喧嘩も含む)脳に変化が現れます。そうなると自分自身の心がけなどでどうこうなるものではないのです。他人の支援や医療での治療が必ず必要です。ああいう発言に二重に傷つく人が増えないようにこういう知識も社会に広まればいいなと思います。

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3

大号泣。 読み終わったあと、本の表紙に戻って、 とてもいい題名だなって、思わせるのが、すごい。 町田そのこさんの苦しみの表現は好きだけど、今回はそのなかに強さも感じた。文中に出てくる、  いきなさい は、強い言葉だし、背中を押される。同時に怖くて不安で足がすくむ気持ちもわかる。だからこそ、すごく背中を押される一言。前に出る勇気をもらえる本。

3

自分の人生は自分のもの。 他人に支配されず自分が支配するもの。 最後まで読んでこの言葉がすんと響いた。 他人を恨んで他人のせいにして人生棒にふるんじゃなく、自分でしたことされたことを踏みしめ、責任をとり、いきていこう。

2

過酷な人生、不幸ガ不幸を、呼び込んでしまう。そんな中でも、終盤には、そこから這い出して生きて行こうとする人間の底しれない強さを感じられる。母と娘の関係とその家族の絡み合い。

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1

明日の光が見えないほどの絶望感に満ちた冒頭は、読んでいるだけで落ち込んでしまうような臨場感と現実感、表現力であった。母に捨てられたことを恨みながら生きていた千鶴は、自分の不幸を全て母のせいにする未熟で浅慮な人間であったが、若年性アルツハイマーを患う母を取り巻く恵真、彩子さん、その娘美保、医師の結城と生活をともにすることで、人間らしく意地汚く成長する様は、猛烈に引き込まれる魅力のある文章であった。彼女らもそれぞれに自分なりの問題を抱えており、母の病気と向き合いながらそれを克服していく様子は、最終的にはすっきりできる起承転結だったと思う。母と千鶴の関係値や他の登場人物の抱える心の問題も、かなり良好に描かれており、明るく希望的な終わりを迎えられてすっきりとまとめられていた。

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