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まみさんの感想、レビュー

#ムーンリバー #栗本薫  #天野喜孝(装画)2009年9月発行 再読  『朝日のあたる家』に継ぐ、愛と哀しみの物語。感想をつらつらと。 最後は嗚咽が止まらなかった… 知る人ぞ知るこの衝撃的な同性愛の小説は、シリーズの最高傑作だと思っています。 島津さんと透の愛の果ての物語。 ふたりの人生に出会えた者だけが見られる絶景…。 最後まで格好つけたがりの島さんが好きでした。 常に透の庇護者であった、島津正彦がガンに冒されて、余命数ヶ月。 燃え尽きる前の愛の嵐、炎の情念が凄まじかった。なんてこった…!! 激烈な愛の告白には、正直シビレたし、 彼の人生の懺悔すら魅惑的でした。 治療を懇願する透に対し、島津は己の美学的な意志から耳を貸さない。 期限付きの愛欲の日々。 でも島津の嫉妬に狂った性行為は、死への階段にしか思えなかった。 それもそのはず心中するつもりだったのですから。 結局、透は入院沙汰にまでなってしまう。 今となっては、そんなこともあったなぁと思えるほど遠い昔のように感じますーー。 感動の愛憎のラブストーリーなのですが、 BL読者にはおすすめできない事情が…。 つまり地獄のような苦しみが、すごい丁寧に描かれています。 心中するためフィストされちゃうし。 端正で知的な島津のすさまじい愛。ハードルはなかなか高いです。 後半は、憑き物がおちたように、穏やかで慈しみに溢れた島津さん。 透の幸せを誰よりも心配し愛してくれた人。 日に日に痩せていく島津さんを、為すすべもなく途方に暮る透が切なかった。 そして、良の存在。良にとっては、俺なんかいっときの方便、泥沼の生活から脱出するためだけの杖みたいなものだーーというセリフが頭に焼き付いた。 物語の最後で透の狂信ぶりはヒヤリとした。 愛する人に置いていかれた孤独感。 透が本当の意味で理解した時は、一番辛かったです。 私は、透が可愛いから 幸せでいてほしい。 ただそれだけ。 島津の旦那は頭はいいのに、ほんと馬鹿だよねえ。

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