Bookstand
Bookstand

まみさんの感想、レビュー

#さよならトロイメライ #尾上与一 2017年1月1日発行 はやくもうららかな春。 雪の降る2月に読んだこの本は、冷え切った空気のごとく痛みをともないながら胸に染みました。美しく儚い悲恋物語。 甘いロマンスは小さな灯りほど。だんだんと人間の愚かさが重荷になってきて、 リタイアの言葉が頭をかすめた作品という意味でも印象的でした。 何だか昔の耽美小説Juneに戻ったみたい、、 怖いけど最後は知りたい。 大正時代の情景を舞台にしたこの作品は、春爛漫の季節になるころ、ふたりを思い出すかもしれません🌸🌸🌸 貴族制度が残る大正時代、資本主義の急成長を牽引する旗手であった宗方家。 その激動の時代を生きる若社長の鉄真が、聡明で我も強い。まさに灯台の様な人でした。 優しい魂を持っていると知っているからこそ、執事の弓削に対する冷たい顔は、とても読んでいて辛かった。 鉄真がいかに努力し凄い頑張ったか、ちゃんと知っています。 灯台を建てる夢があってこそ前進できる。私も同じ気持ちでした。 それでもあえて言わせてほしい。 鉄真のグズー!!、のろまー!! 遅い遅いよーーーー!!!! わかっているのです。 心では飛んでゆきたい気持ちもちゃんと知っています。 偶発とはいえ罪を犯した弓削には、しがらみしかない宗方家を出て、まっさらな奉公先で立派に務めてほしい…。 私もそう思うし、鉄真の愛し方は間違っていないと思う。堂々巡り…辛かったな。 正にこうあるべきというラストシーンでした。 弓削は忠義に厚く努力家です。でもあの事件を含めてとうに心は壊れていたのに…皆は見て見ぬふりをしていたと感じられて辛かった。 重ねた情事は数あれど、弓削が不憫でどうしても萌えられなかった。 弟の一樹の淋しさを想うと泣けてきました。 追伸 同人誌で、その後の二人の様子にちょっと救われました。 みのりん大切な本を貸してくれてありがとうございます❤️

まみさんの最近の感想、レビュー

App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう