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カケラ

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湊 かなえ

集英社

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作品紹介、あらすじ

美容クリニックに勤める医師の橘久乃は、久しぶりに訪ねてきた幼なじみから「やせたい」という相談を受ける。カウンセリングをしていると、小学校時代の同級生・横網八重子の思い出話になった。幼なじみいわく、八重子には娘がいて、その娘は、高校二年から徐々に学校に行かなくなり、卒業後、ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかったという。母が揚げるドーナツが大好物で、それが激太りの原因とも言われていた。もともと明るく運動神経もよかったというその少女は、なぜ死を選んだのかーー? 「美容整形」をテーマに、外見にまつわる固定観念や、人の幸せのありかを見つめる、心理ミステリー長編。 【著者略歴】 湊かなえ(みなと かなえ) 1973年広島県生まれ。2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞、受賞作を収録した『告白』でデビュー。同作で09年本屋大賞を受賞。12年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門、16年『ユートピア』で山本周五郎賞を受賞。18年『贖罪』がエドガー賞候補となる。その他の著書に『夜行観覧車』『白ゆき姫殺人事件』『母性』『山女日記』『リバース』『未来』『落日』など多数。

感想やレビュー

女の人は特に、「太っている=不幸」と思いがちですがその固定観念に疑問を投げかける物語です。 義理ですが母にたっぷり愛情とドーナツを与えられて自己肯定感も高く、幸せそうにすごすユウが、よく事情を知りもしない外野に「太っていてかわいそう」という気持ちをぶつけられ、ユウもその母も不幸な道を辿ってしまうという…。 自殺の真相といい、母の気持ちを考えると辛いなぁ…と。 わたしも女性なので外見で判断されて損だなぁ…と思うこともたくさんありますが、素敵だなぁと思う方ってやっぱりいい意味で自信がある人が多いなぁと感じます。 そう言う意味でとっても健やかに育っていたユウちゃんを壊していった周りの大人が許せない…と思いました…。

1

吉良有羽の自死の真相を、美容外科医橘久乃が吉良有羽にまつわる人物に話を聞いて明らかにしていく構成。それぞれの思惑がお互いに悪く影響しあっており、同じ事象でも視点が違えば全く違う話になるいわば現代のネットデマに流されやすい人々を表しているようだった。最後の横網さんとの会話文までが順々に関係しており、最後に全てのことの顛末が露わになる。また母と娘の関係が大きなキーとなっている、湊かなえらしい作品。

モヤモヤとスッキリせぬ読後感だが、これぞイヤミス?ルッキズムがテーマなだけに所々嫌悪感。 語る人各々の固定観念や価値観により一つの事実の捉え方が全く異なってしまうちぐはぐ感が面白かったが、一歩間違えると人を破滅に追い込む危険性を孕んでいるのが恐ろしい。

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