すだれさんの感想、レビュー
すだれ
多様性という言葉が一人歩きすることの危うさを思わされた小説。 終盤、尻切れトンボになった泰希くんのその後はどうなるのか、個人的には気になる。
朝井 リョウ
新潮社
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パワフルな婆様三人が眩しい時代小説。 コメディ風味だが、底抜けに明るいわけではない。それぞれにしがらみや屈託を抱えながら、死ぬまで自分自身を養っていかなくてはならない三婆さまにはどこか哀感が漂う。 平均寿命が長くなった現代ではお馴染みのテーマだが、江戸時代も案外そんなものなのかもしれない。 物語の展開もコンパクトで無駄がなく、最後も工夫があって良かった。
西條 奈加
江戸中期の文人がオールスターで登場する時代小説。 江戸の政治史だけではわからない、豊かな文人ネットワークには驚く。
永井 紗耶子
筋書きは悪くないのだが、文章のテンポが悪く、登場人物ものっぺりした感じがした。 会話のみでテンポを早めたり、無駄な描写を削ったりすれば良作になっただろうに、と惜しまれる。 『高瀬庄左衛門御留書』はそのあたりが巧かったのだが。
砂原 浩太朗
ものすごい大どんでん返しがあったり、テーマが目新しくてはっとしたり、ということはないのだが、作者の筆力でそこそこ読ませる。 ただ、唸るほど面白いかと言われると微妙。期待ほどではなかった。 冒頭2つの短編が良かった。
染井為人