gegetomさんの感想、レビュー
gegetom
う〜ん。 テレビでドラマとして観たら面白い話なんだろうな。 こういう恋愛小説に共感するには、私は年をとりすぎてしまった。
瀧羽麻子
幻冬舎
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女子高生の転落事故の記事をきっかけに、母、娘、高校教諭らしき人物の独白で物語は進む。そのミステリアスな語り口に一気に引き込まれた。第六章まではのめりこむように読んだのだけど、終章で引っかかってしまった。この展開で終わってしまうのかと。この終わり方だと母性というものが作中で提起されている『女を家庭に縛り付けるために、男が勝手に作り出し、神聖化させたまやかしの性質を表す言葉』を肯定したことになる。多分この物語は母娘の一心同体性の危うさにフォーカスして読むべきだったんだと思う。でも変な所に引っかかってしまった。
湊かなえ
格差、レイシズム、多様性、昨今我々大人が直面する問題。できれば対決したくないし避けて通りたい。でも子供達はそうはいかない。当然子供達が通う学校にもこういう問題が存在する。大人が解決できていない問題に彼らは文字通り体当たりする。逞しい。著者の息子さんはいわゆるハーフ。イギリスでも日本でもよそ者扱いらしい。そういった境遇からの視点で、大人が解決できていない問題を冷静に分析し理解しようとしている。思考の深さは母譲りなんだろう。半径2mの世界では気付けない問題。もっと視線と思考を外側にむけないと。
ブレイディ みかこ
指しゃぶりを卒業し"知恵が啓かれた"女の子かのこちゃんの成長の物語。かのこちゃんの過ごす穏やかな日常が飼い猫マドレーヌの日常と平行して描かれる。猫は「穏やかな日常」を象徴する生き物。そんな猫マドレーヌに起こる摩訶不思議な体験。突然身体が大きくなった不思議の国のアリスが狼狽える場面を思い出した。ほのぼのしていてちょっと切ない物語。
万城目 学
『プラナリア』という響きで人の興味を惹きつけ『私、乳癌だから』で落とす、実に悪趣味な春香。元来のひねくれ性質に乳癌とその後の体調不良が加わって気持ちのモヤモヤの落とし所が見つけられずにいる。入院中に知り合った永瀬さんとならモヤモヤ感を共有できるかもと期待したのか、彼女に接近してみるも思っていた感じの人ではなく一人勝手に裏切られた感に浸る。わかるよ、春香の無闇に他人を傷つけたくなる気持ち。たまにあるよ。でもたいていは一時のことなんだけど。どうやったら彼女は立ち直れるのだろう。読後も考えを巡らせる。
山本 文緒