ぎょらん
町田 そのこ
新潮社
作品紹介、あらすじ
人が死ぬ際に残す珠「ぎょらん」。噛み潰せば、死者の最期の願いがわかるのだという。地方都市の葬儀会社に勤める元引きこもり青年・朱鷺は、ある理由から都市伝説めいたこの珠の真相を調べ続けていた。「ぎょらん」をきっかけに交わり始める様々な生。死者への後悔を抱えた彼らに珠は何を告げるのか。傷ついた魂の再生を圧倒的筆力で描く7編の連作集。文庫書き下ろし「赤はこれからも」収録。
感想やレビュー
死んだものが残すといわれている最後の思いの玉。大切な人の最後の思いを知りたいと願い、ぎょらんなるものを探す。それは憎しみであったり、励ましであったり、愛する言葉だったり。その思いが故に呪縛として現実を生きることが出来なくなってしまうこともある。ただそれは死者が生み出したものではなく、生者が作り出した創造物であり願いである。
ネタバレを読む
話がつながりすぎておもしろい&びっくり。死の捉え方考え方には、興味がある。
亡くなった人が最後に手にもつまているというぎょらんのお話。
強くあろうとしなくていい。弱くていい。どうやっても立ち上がればいい。 救い救われ生きていけ どうしようもない死を前にしたとき、ひとは立ち尽くして死者とまたつながれないかと苦悩する。死者との繋がりや記憶で救われることもある。けれど、絶望の沼まで寄り添ってくれて引き揚げて再び立ち上がらせてくれるのはいつだって同じ世界に生きているひとなんだ。 この本を読んで、死をまた意識して、エンディングノートを描きたいと思った。死ぬことを意識してではなく、生を意識して。