Bookstand
Bookstand
世界は「」を秘めている

世界は「」を秘めている

櫻 いいよ

PHP研究所

Amazonで詳細を見る

作品紹介、あらすじ

全部、全部「ウソ」だった。周囲が作り上げた「かっこいい女子」を演じ続けてきた玉川つばさは、かわいいものや、きれいなものを身につける男子・雨宮凪良と出会い、少しずつ「自分の本当の気持ち」を見つけていく。

感想やレビュー

「好き」を見つけられない主人公のつばさ。彼女は、小学校の卒業式で、周りと違う空気を纏う同級生、雨宮凪良に出会い、関わっていく。その中で、「個性」とは何か、「自分らしく」とは何かを探っていく。 印象に残ったフレーズ 「彼は、自分のことを誰よりも知っている。だからこそ、隠せるのかもしれない」 「でもなんで-僕が強くならないといけないの?」 一つ目は、新しい考え方になるほど、と思ったフレーズ。自分の見られたくない一面の一つや二つ、誰にでもあると思うが、それを隠すには、やはりその面を自分が誰よりも知っていなくてはいけない。隠すなら隠すで、自分と面と向かって向き合って、「絶対に隠し通す」という覚悟を持つ必要があるのかもしれない。 二つ目は、このセリフを読んだ瞬間、ハッとした。というのも、自分自身、何かに悩む人、特に人の噂を気にして悩む人に「いつか認めてもらえるように、胸を張って『強く』生きないと」という考え方を強要しているように感じたからだ。噂をされている人だけが強くならなくてはいけないなんて、そんなことはない。噂をする側が、勝手な僻みで人を傷つけることがないよう、『強く』ならなくてはいけないのだ。 この本の全体に出てきた「噂」だが、それを気にしないのはものすごく難しいことだと思った。でも、最後に、噂をされても自分の「心がときめく」ことを貫いて、「それは、自由で、個性的な、あたしだけの世界だ」と言い切ったつばさは強いと思う。冒頭では、小学校の卒業を「個性」を求められる「自由」からの解放、と表現していたのに、すごい変化だ。 でも、私はやっぱり噂は気にしてしまって、それで本性を隠すけれど、でもそんな日々も嫌いじゃない。 もちろん、隠すことで苦しむこともあるけれど、楽しいことだってある。「本当のあなたを見せて」とよく言われるが、楽しいことが少しでもあるなら、一概に「悪いことだ」と切り捨てることはできないと思う。

ネタバレを読む
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう