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傘をもたない蟻たちは

傘をもたない蟻たちは

加藤 シゲアキ

KADOKAWA

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作品紹介、あらすじ

かなわないー。天才肌の彼女に惹かれた美大生の葛藤。書いた原稿がそのまま自分の夢で再現される不思議な現象にのめりこんでいく小説家の後悔。幼なじみの秘密を知り、彼との接し方がわからなくなってしまった男子中学生の苦悩。自分の心に正直でいたいだけなのに。誰もが胸に抱える生ぎづらさを鮮烈に切り取った、著者初の短編集。単行本未収録作品であるタイムリープSF「おれさまのいうとおり」を加えた全7編。

感想やレビュー

日常の何気ない「生きづらさ」を描いた、加藤シゲアキの短編集。 印象に残ったフレーズ 「人ってのはな、喜ぼうと思っても限界はあるが、悲しもうと思うと際限なく悲しむことができる。だったら最初から悲しまねぇことだ。何があってもわしは悲しんだりしない。ただの出来事として受け入れる」 驚いた。そんな考え方があるのかと思った。これは、同志を亡くし、周りから陰口を叩かれ続けた根津爺だからこそ言えた言葉だと思う。 私にこのような考え方ができるだろうか。ここまで割り切って考えるのは難しいと思う。でも、悲しみ続けるのではなく、根津爺いわく「限界がある」喜びを見つけることは大切だと思う。限界を突破する、というわけではないが、日常の小さな幸せを感じて、喜びの限界を大きくしていきたい。

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