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小説 ほしのこえ

小説 ほしのこえ

大場惑/新海 誠

KADOKAWA

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作品紹介、あらすじ

中学生のノボルとミカコは仲の良いクラスメイトだったが、3年生の夏、ミカコが国連宇宙軍選抜メンバーに抜擢された。宇宙と地球に離ればなれになった2人をつなぐのは、携帯電話のメールのみ。だがミカコの乗る宇宙船が地球を離れるにつれ、メールが届くのにかかる時間も長くなっていく。時間と距離に隔てられた、2人の互いを思う気持ちはやがて…。『君の名は。』の新海誠の商業デビュー作『ほしのこえ』を小説化。

感想やレビュー

普通の中学生だった昇と美加子は、同じように日々を過ごし、高校生になるはずだった。 しかし、美加子だけが国連宇宙軍に選抜されると、2人を繋ぐツールはメールだけになる。そのメールも、美加子がどんどん遠くに行くにつれて、言葉の往復にも時間がかかるようになる。 この本を読むと、太平洋戦争などの戦時下の暮らし、兵隊の闘い方をなぞっているように感じた。 「タルシアン」という新種の脅威が宇宙空間に出現し、それを撃退するために、国家予算の殆どがタルシアン関連事業に費やされていた。これは、戦時下の質素倹約を求められた暮らしに似ていると思う。 また、美加子は、最初こそ戦闘を「部活のよう」と例え、楽しんですらいたが、段々と自らの意思とは関係なく戦わされたり、逆に退避させられたりする。動員された学徒たちも、同じような気持ちだったのだろうか。 もし新海誠が、「戦争」をコンセプトにこの小説を書いたのなら、これは秀逸だと思う。 「戦争」という重苦しくなるテーマを、SFと、青春、恋愛と絡めて書くことで、心情を理解しやすくなる。途中の美加子のセリフで、私は「まるで戦争のようだ」と気が付いた。その時、「あの時の子供たちもこのような気持ちだったのかな」と思った。 やはり国家は強くて、国民は弱いのだなぁと思った。

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