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月と日の后(下)

月と日の后(下)

冲方 丁

PHP研究所

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作品紹介、あらすじ

彰子への出仕を頑なに拒否していた厄介な女房である紫式部。当初は手を焼いていたものの、彼女との絆や『源氏物語』はやがて、彰子を稀代の国母へと成長させたー。敬愛する夫・一条天皇の突然の死、一族内での足の引っ張り合い、頻発する火災や疫病…怨念うずまく宮中で闘い続け、時の権力者である父・藤原道長に唯一反旗をひるがえし、七代の天皇を支えた藤原彰子の感動の生涯を描いた長編小説。

感想やレビュー

冲方丁「月と日の后」下巻。読了。 永井路子の「この世をば」を高校生の時に読んで道長の有頂天っぷりがとても面白かったのだが、本作はその娘彰子(しょうし)から目線で見たお話と、その彰子が国母となっていく物語。 物語というよりなんかドキュメンタリーを読んでいるかのようだった。会話がかなり少なく、日々移り変わる状況が説明されていく。新王の敦成の出産、最愛の一条天皇の崩御、道長と兼家の二家の確執、次の東宮をたれか、皇女はたれぞ、権謀術数うずまくなかで彰子が何を考え何を判断していったか、そしてその心の強さ。 淡々と進むのになんだろなんで面白いのだろう。不思議だ。紫式部が亡くなった知らせを聞いた時は「相棒よ!」と彰子と共に悲しみに暮れたりもした。 父が築いた藤原家の繁栄。この彰子がいなければたぶん道長一代で終わっていただろう。八十七歳の生涯を終えるまでに六代もの天皇を慈愛を持って見届けてきた彰子。せめて浄土で一条天皇と幸せに暮らしていますように。

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