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博士の愛した数式

博士の愛した数式

小川洋子(小説家)

新潮社

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作品紹介、あらすじ

世界は驚きと歓びに満ちていると、博士はたった一つの数式で示したー記憶力を失った天才数学者、と私、阪神タイガースファンの10歳の息子。せつなくて、知的な至高のラブ・ストーリー。著者最高傑作。

感想やレビュー

記憶が80分しか保たない数学者、博士。その博士の家に家政婦として呼ばれた女性の物語。 印象に残ったフレーズ 「博士の幸福は計算の難しさには比例しない。どんなに単純な計算であっても、その正しさを分かち合えることが、私たちの喜びとなる」 博士は、記憶が1975年で止まっているために、世界の時事の話や、昨日の雑談の続きすらも、家政婦やその息子と共有することができなかった。そんな博士が唯一、記憶の問題に邪魔されずに語り合うことができるのが「数学」だった。素数の話から、時にはオイラーの公式や、フェルマーの最終定理の話にまで、博士は数学のことならいくらでも話すことができた。だからこそ、この「共有できる」という喜びはひとしおだったのだろうと思う。 この本は、以前にも小学生の頃に一度読んだことがあったが、その時はまだ幼すぎて、殆ど内容を理解出来なかったのを覚えている。 そして今、少なくとも昔よりは人生経験を積み、数学に関する知識も豊富になった私は、博士の言わんとしていること、それから彼女が何を見出したのかまでは理解できた。 もし、この本を、私が本気で人を「愛する」ということを知った後、もう一度読めば、計り知れない感動が待っているのかもしれないと、楽しみだ。

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2022年9月22日

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