Bookstand
Bookstand
つみびと

つみびと

山田 詠美

中央公論新社

Amazonで詳細を見る

作品紹介、あらすじ

灼熱の夏、彼女はなぜ幼な子二人を置き去りにしたのか。フィクションでしか書けない“現実”がある。虐げられる者たちの心理に深く分け入る迫真の長編小説。

感想やレビュー

悲しい話でした…。 基になった事件は当時のニュースでもたくさん扱っていたのでよく覚えています。「子宮に沈める」という映画も見て涙が止まりませんでした。 「つみびと」は不幸の連鎖が悲しくて。でも母も子も子供をすてたことは変わらないのになんで子供の蓮音だけ、こんなことになってしまったんだろう…っていう悲しさと、子供目線での母を信じて待っている描写がすごく悲しくて…。 たしかに子供を置いて行ってしまった母親は悪いのだけれど、助けてもらえる人がいなかったっていう背景があって… 自分も母になって、子供にしたことへの悲しさも感じるのですが、母親に、同情もしてしまいます…。 山田詠美さんが、本作でのインタビューで、「暴力を振るって子どもを死に至らしめるようなアグレッシブな虐待というより、なし崩し的にそうなってしまった、というどうにもならなさを感じた。(略)積み木がどこか一つ崩れたときに、自分が持っているものすべてがどうでもよくなる。日常生活をきちんと送ろうと思っているすぐそこに、地獄がある。」とおっしゃっていました。 この本を読んだ時に何かすごく不安に感じていたのですが、これだ…と思いました。私もなにかのきっかけがあれば、同じようになってしまいかねないことが怖くて、不安だったのでした…。

App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう