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護られなかった者たちへ

護られなかった者たちへ

中山 七里

宝島社

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感想やレビュー

目を背けてはいけないし、悪い事なのはわかってても、かわいそうで仕方ない話でした。

2

生活保護が軸になっている話でいろいろ考えさせられた。戦時中でもないこの時代に餓死する人がいるのだろうかと思ったけれど貧困というのは自分が想像するよりもはるかに残酷で理不尽な問題なのだろうな。不正受給が問題になる一方で本当に必要な人に支給されないというのはどうにかならないものか…。ただ、自分も公務員だから職員達の気持ちもわかる。決まった予算の中で仕事をしなければいけないからどうしたって弾かれる人は出てきてしまうよなぁ。上司又はその更に上が決めた方針にも簡単に逆らえるもんじゃないし。とても難しい問題だなぁ。2022.2.16

2

ここまで、考えさせられた本には出会ったことがなかった。そして、とても衝撃的な内容だった。架空のはなしだが架空ではない、これが現実なんだと。誰もが辛く苦しい現代を、人間として自然に身となるものをなぜ一番の犠牲としなければならないのかを、もどかしさ、切なさ、悔しさ、情けなさを感じた。今自分の置かれている環境下でなにができるのか、なにをするべきか…しっかり考え、それを行動にしたいと強く思った。

1

社会保障について、考えさせられる作品でした。 生活保護は不正受給の問題ばかり取り沙汰されていて、受給するべき人が受給できていない、予算削減で弾かれている人がいるなんて…という気持ちです。窓口でのつっぱね方は小説用に誇張されたものなのか、そうでなかったらゾッとします。 確かに税金は何もしなくても取られていくのに、支給されるお金は制度を知らなくては、そして申請にいくつもの手続きを踏まなくてはいけないものが多く、わかりづらいものばかりです。私もそうなのですが、知識がない故に、その情報にすら辿り着けないということが多々あります。 申請したとしても制度上、どこかで線引きがされて、得する人、損する人がでてきてしまいます。 貧困の再生産にも触れられていて、貧困から抜け出すのがいかに難しいかが窺えます。 物語としては、利根が空港に行くあたりの記述から犯人じゃないのかな?と思い、カンちゃんでは??と思ったのですが、それが円山だとは思わず!中山七里さんらしいどんでん返しでした。面白かったです。

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