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東方美人

東方美人

かわい有美子

幻冬舎コミックス

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作品紹介、あらすじ

一九八〇年代。英国の偽造パスポートを持って西ベルリンに潜入したKGBの若き情報員アレクセイは、怜悧で冷たい美しさを湛えた上官のサエキと生活を共にしながら本国の指令を待つことに。しかしアレクセイには、サエキにも言えない極秘の任務が課せられていた。旧体制時代のドイツを舞台に繰り広げられるドラマティック・ロマンス、完全文庫化。

感想やレビュー

#東方美人 #かわい有美子 #雨澄ノカ 初版2004,2005 文庫版2014年発行 何年も前の作品なのに凄い。再読。 KGB、MI6、ベルリンの壁…心躍らせて読みました。1980年代ソ連のスパイ組織KGBのスリーパーである上官サエキと新人アレクセイの非常な世界に生きるふたりの絆と激動の物語です。 やっぱり諜報小説は好きです❤️ かわい有美子先生のSAT.SIT物もそうですか、夢と現実の区別がつかないほどリアルな世界観にじーんときました。機密上、つねに孤独なスタンスなのが警察機構とは違って、そそるのです。 祖国を憂い、憎むという複雑な気持ちを抱えながら、極秘の任務を遂行する主人公。彼らの生き方を通して、西欧諸国と東欧諸国の違いがさまざまと浮き彫りになってくる。 ーーー強くあろうと思うならば、けして、守るべき者をもってはいけない。 はあっ、そういうジレンマが心に響く〜。 コードネームは『伯爵』とよばれる美貌のサエキ。 ひとりで生きる覚悟をしても、いつまで絶えられるか…本当の姿は自分さえも見失っているミステリアスで艶のあるキャラクターです。 そんなサエキが、奥底に真摯さ誠実さを秘めた新人アレクセイに惹かれてゆく。 生まれてはじめて欲しいと思ってしまうんです。純粋なアレクセイを「アーシャ」と呼ぶ声がとても甘くて切ない。普段のクールで怜悧な雰囲気とのギャップがいい。 このやるせない心理描写に胸を打たれました。 一方、国の意思によって海軍からKGBへ引き抜かれ教育を受けたアレクセイ。 アレクセイもまたサエキの魅力に絶対の忠誠を誓う。そして本国からのある指令がふたりの運命を狂わせる…。 ヘタレじゃない攻め久しぶりです!!アレクセイと一緒なら地の果てまで行ける。 教授、郵便配達夫、ヒルダといったコードネームの登場人物たちは冷酷でムカつくけれど、ソ連という幻想の国が産み落とした哀れな人達でもあるのよね。 全体に甘さは控えめですが、そのぶん気持ちのこもった濡れ場は強烈に色っぽいです。 サエキとテディ・ベアの組み合わせにほっこり。こういうさり気ないシーンが大好きです。

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