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ヴェネツィア便り

ヴェネツィア便り

北村 薫

新潮社

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作品紹介、あらすじ

「もし、あなたがこれを読む時、ヴェネツィアがもうないなら、これは、水の底から届いた手紙ということになります」「ヴェネツィアは、今、輝く波に囲まれ、わたしの目の前にあります。沈んではいません」-三十年の時を越えて交わされる“わたし”と若い“あなた”の「ヴェネツィア便り」。なぜ手紙は書かれたのか、それはどんな意味を持つのか。“詩と人”を描く懐かしくも色鮮やかな15の短篇。

感想やレビュー

北村薫「ヴェネツィア便り」読了。 帯に書かれている言葉では「時と人を描いた15の短編小説」とある。 この15の短編の中でも特に印象の残るのはホラー的なお話の「開く」、不思議な能力を持った「岡本さん」、ぞわりとした怖さの「黒い手帖」、そしてタイトルにもなっている時を超えて私に届いた手紙「ヴェネツィア便り」かな。 そう、北村薫さんの書くお話で怖い話もあるんだけど、なんというか「ぞわり」という言葉が1番しっくりくるんだよね。今回の短編集は怖い話ばかりじゃなく、切なかったりあったかかったりするお話もあるんだけど、読後に印象に残ってるのはやはり「ぞわり」としたやつだな。特に「開く」。これからは閉じてるものがあったらなるべく簡単に開けないようにしようっと。 あ、唯一「ヴェネツィア便り」だけは怖いやつではなく、自分もそういうことやっておけばよかったなあと、なんか暖かくなるというか、くすっと笑ってしまうというか、いい感じだった。最後がこのお話で良かった。

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