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本にだって雄と雌があります

本にだって雄と雌があります

小田雅久仁

新潮社

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作品紹介、あらすじ

本も結婚します。出産だって、します。小学四年生の夏、土井博は祖父母の住む深井家の屋敷に預けられた。ある晩、博は祖父・與次郎の定めた掟「書物の位置を変えるべからず」を破ってしまう。すると翌朝、信じられない光景がー。長じて一児の父となった博は、亡き祖父の日記から一族の歴史を遡ってゆく。そこに隠されていたのは、時代を超えた“秘密”だった。仰天必至の長編小説!

感想やレビュー

大好きな本がまた1冊増えた。 「本にだって雄と雌があります」 小田雅久仁 タイトルで惹かれて、 帯の森見登美彦という名前で惹かれて、 裏表紙の粗筋を読んで即決。 結果、大当たり! 内容はタイトルの通り、 本にも雄と雌があって、本棚の本を不用意に入れ替えると子供ができるので、無限に本が増えるから大変ですよと。 で、その勝手に増えた本を幻書と呼び、 それを収集する祖父の話を自分の息子に伝える手記という形の小説である。 大好きな本と書いたけど、 あくまで私にとってという意味です。 これは恐らく万人受けしない。 何故なら文章がみっっっつり詰まってるから。 読んでてなんだか素潜り大会してるような気分になります。 文章の海にざぶんと潜って潜って潜って辛抱堪らんくなってブハッっと空気を吸いに上昇する。 でもそれが堪らん。 森見登美彦が好きな人は多分好きと思うから是非読んだ方がいいと思います。 ああ、この作者は本が好きなんだろうなあと言うのが滲み出てます。 そして、出てくる全てのキャラクターが愛おしい。 祖父である與次郎もその妻ミキも宿敵シャックリも。 特に最初の方は読んでて思わず吹き出してしまうぐらいだ。 本を読んでて吹き出したのってどれぐらい振りだろう。 んでまた読み終わってしまうのが惜しいと思う本を読んだのもどれぐらい振りだろう。 最初の方は素潜りに慣れていないので慣れるまでに時間が掛かったが、 途中からは、 ああ、もう半分も読んでしまったという哀しさが混じり出す。 面白い本というのは、楽しいという感覚と共に哀しみも包含するから不思議だ。 余談だが、うちの嫁は凄く好きな本に出会うと読み終わりたく無いので読むのをやめるという特異体質の持ち主だ。 話が逸れた。 本の中盤は與次郎の戦争体験の部分になるので少し重たいんだけど、 最後のあたりになる最初の方の話と繋がってああそういう事になってくのかと読んでて涙が出た。 まあ私は涙脆いからすぐ泣くんだけど、 なんだろう、夫婦愛だなって。 そんないい本なので、万人には勧めませんが、本が好きな人には是非勧めます! もし映画化するとしたら、 細田守とかにやって欲しいなぁ。

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