鉄道無常 内田百けんと宮脇俊三を読む
酒井 順子
KADOKAWA
作品紹介、あらすじ
「なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う」と『特別阿房列車』に書いた、内田百間。「鉄道の『時刻表』にも、愛読者がいる」と『時刻表2万キロ』に書いた、宮脇俊三。鉄道に乗るという行為を文学に昇華させ、鉄道紀行の世界を拓いた2人は、時代とともに変わり続ける車窓風景に、人生と日本とを見た。2人へ憧憬の念を抱く鉄道好きの著者が、それぞれの著書を読み解いて描いた、渾身の評伝。
感想やレビュー
鉄オタの祖・内田百閒と宮脇俊三。彼らがいかに鉄道を愛したか、著者の緻密な解説により浮き彫りにされていく。戦時中でもコロナ禍でも鉄道は動いていたという事実に心をうたれ、「何にも用事はないけど汽車に乗って大阪に行こう」という百閒の言葉に鉄道好きの気持ちが揺り動かされた。ふたりの著作を読んでみようか。