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日没

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桐野 夏生

岩波書店

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作品紹介、あらすじ

あなたの書いたものは、良い小説ですか、悪い小説ですか。小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。「更生」との孤独な闘いの行く末はー。

感想やレビュー

小説家の主人公が差別的な思想を持つとレッテルを貼られ、断崖に建つ海辺の療養所に軟禁されるお話。 主人公がとてもパワフルで主義主張も曲げないため、結局は落ちるところまで落ちるわけですが、それが主張を曲げなかったためなのか、そもそもそういう運命なのか。主人公の辿り着いた答えもただの妄想なのなもしれず、全てが曖昧です。状況は違いますが、なんだか現在起こっていることともリンクするところもありそうです。そもそも単なる一般人である私達には世の中の真実など一生分からないままでしょうし、誰かによって決めたことをメディアなどによってマインドコントロールされていることもあるのでしょう。同調圧力でお互いを縛りあい、監視しあい、はみ出したものを徹底的に叩く。多かれ少なかれそういうことはあると思います。怖いですよね…。知らないうちに精神病にさせれることも自殺に追い込まれることももしかしたらあるのかもしれませんよね…。 これは、なかなか踏み込んだ問題作だと思いました。

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