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記憶屋

記憶屋

織守きょうや

KADOKAWA

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作品紹介、あらすじ

大学生の遼一は、想いを寄せる先輩・杏子の夜道恐怖症を一緒に治そうとしていた。だが杏子は、忘れたい記憶を消してくれるという都市伝説の怪人「記憶屋」を探しに行き、トラウマと共に遼一のことも忘れてしまう。記憶屋など存在しないと思う遼一。しかし他にも不自然に記憶を失った人がいると知り、真相を探り始めるが…。記憶を消すことは悪なのか正義なのか?泣けるほど切ない、第22回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞作。

感想やレビュー

人間に潜むホラーな心理描写については唯一怖いと感じたものの、全体的にホラー要素薄く、強い切なさが後を引く物語。 奥深いテーマで、人の記憶についてこんなに真剣に考えたのは初かもしれない。途中で記憶屋の正体に想像がついた。ラストレターの章が一番お気に入り。 最近多くなってきた物忘れは、もしや記憶屋に記憶食べられとるからかもしれんな…🤔⁉️爆

もし、死ぬほど忘れたい記憶があったとして、それを消してしまうのは正しいことだろうか。 印象に残ったフレーズ 「記憶をなくすってことは、後悔するチャンスさえ与えられないってことだろ?」 遼一の、記憶屋に対する考え方がよく分かる言葉だと思う。自分も、どちらかといえば記憶屋には反対だから、この言葉に共感した。 遼一は、記憶を消すことは「逃げ」だと考えているのだろうか。どんなに辛い記憶があっても、それを後悔して、受け入れて、前に進まなくてはいけないと、考えているのではないか。 でも、真希の言っていたことも分かる。どうしても消したい記憶があるとして、それを消すことが自分にしかできないことなのだとしたら、その人を助けられる唯一の存在として、助けてやりたくなるかもしれない。でも、記憶を消した後に、また同じような経験をして、元に戻ってしまったら…と考え、ためらい、悩む気持ちも分かる。 でもやっぱり、記憶を消すのはよくないと思う。遼一が言ったように、忘れたい人は人のことを忘れられるかもしれないが、忘れられたくない人が、人に忘れられるのは、相当な苦痛を伴うと思う。 記憶を消されるというのは、自分だけの問題ではなくて、周りの人を巻き込んでしまうということが分かった。

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