Bookstand
Bookstand
ままならないから私とあなた

ままならないから私とあなた

朝井 リョウ

文藝春秋

Amazonで詳細を見る

作品紹介、あらすじ

天才少女と呼ばれ、成長に従い無駄なことを切り捨てていく薫と、無駄なものにこそ人のあたたかみが宿ると考える雪子。すれ違う友情と人生の行方を描く表題作。男が先輩の結婚式で出会った美女は、人間関係を「レンタル」で成立させる業者だったー「レンタル世界」。既存の価値観を心地よく揺さぶる二篇を収録。

感想やレビュー

「レンタル人間」 先輩のうちもレンタルなんだろうな、とはなんとなく予想ができたのですが…男が主人公で、「人とのつながりが〜」とかちょっとそれっぽいこと言っていて、最終的に女の子といい感じになって、レンタル人間なんて心がないよね!みたいに終わるかと思いや… そこを女の子が最後ガツーンと主人公を打ちのめすというか、読み手もガツンとされる感じで…風俗のくだりいるかな?とか思ってたけど、レンタル人間っていうシステムとそう関わってくるのか!と思いました。 どんでん返しではないけど、読み手の心情?をひっくり返される感じがちょっと何者に通じるところがあるなぁと思いました。 「ままならないからわたしとあなた」 正反対な性格で、でも幼なじみ同士で大好きで、主人公が雪子だから雪子目線で話が進む中、ちょっとずつ違和感を感じているっぽい描写があるのが悲しくて、どうなるんだろうなって思っていました。 薫はずーっと一途に雪子のこと大好きで雪子のために自分ができることをやっているのですが、最後のAIで曲作ったときに完全にズレてしまっているのが切なくて、でも雪子目線で読んでるからイライラというかザワザワした気持ちになりました…。薫も完全に好意でやってるし間違えたことをしてるわけじゃないしむしろすごいことをしてるのに… 私も雪子よりの考えだから薫に尊敬を抱きつつ違和感を感じるのかなぁと思いました。 でもこれからそういう時代になるなもなぁって思いました。最近AIが書いた絵とかが話題になっているようなので…。芸術も人が作るものじゃなくなるのかなぁと。 最後の終わり方がとても面白かったです。反面教師で正反対に生まれてくる子供たちの描写が良かったです。 「すれ違う正反対な幼なじみ」というところで「死にがいを求めて生きてるの」を思い出しました。でも話は全然違うように出来上がっているので朝井リョウさんって本当にすごいです…。

ネタバレを読む
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう